今日は、近畿経済産業局が主催する「関西デザイン経営成果発表会」というセミナーにオンライン参加しました。
「デザイン経営」とは、特許庁が推進するプロジェクトで、デザインの力をブランドの構築やイノベーションの創出に活用する経営手法のことです。
このデザイン経営に取り組まれた3社の発表がありました。
小嶋織物株式会社 取締役 小嶋 恵理香 氏
株式会社日東社 専務取締役 大西 潤 氏
錦城護謨株式会社 代表取締役社長 太田 泰造 氏
面白かったのは、デザイン経営だから新規事業でデザイン性を活かしたものという事例ではなく、三者三様の取組だったこと。1社目の小嶋織物㈱は、自社技術と「光る」というワードを結びつけて、新たな壁紙の開発をされていました。今回の取組の中で、自分の生い立ちと自社の歴史を重ねてアイデンティティを見つけ出すことができたとのこと。
2社目の株式会社日東社さんはマッチの生産量では日本の7~8割を占めているのだとか、別にテニススクールを全国30か所で展開されており、こちらも全国トップレベルだそうです。そんな中、デザイン経営への取組では、地元の姫路のお祭りともからめた会社の在り方をデザイナーと共に再構築した事例でした。
3社目は、ゴム製品を製造されている企業さんで、こちらも社歴が長く、新しいことをしようとすると対立が起こってしまう。2軸を対立と見るのではなく、「両利きの経営」という考え方を知り、2つは両立するものだと考えられるようになったとおっしゃっていました。
「デザイン経営コンパス」というツールを見ると、
現状把握→深掘り→活動検討 というシートにそって自社を分析しながら課題発見・共有をやってみましょうと書いてありました。
名前がややこしいのですが、2019年に内閣府知的財産戦略推進事務職が提唱していた「経営デザインシート」は、デザイン経営に取り組む中で、未来志向で事業を考える際の補助的なツールに位置付けられていました。
同じように、見えない資産を見える化するツールとしては、これも経済産業省が2008年頃から提唱している「知的財産経営」というものがあります。シートとしては、ローカルベンチマークを使って、企業の現状や将来を深掘りしていき、ストーリー化しようというもの。
同じ経済産業省、特許庁が、手を変え品を変え、中小企業の見えない資産を見えるかしようと試みているんですね。
今回の2023年度関西デザイン経営推進事業でも、事業を受託したデザイン会社が伴走していましたが、経営者には壁打ちの役割をするコンサルタントやデザイナーの役割は重要だと思いました。