「未来の地域金融にむけたシンポジウム」と題した近畿経済局と大阪信用保証協会が共催のシンポジウムを視聴しました。
内容は、地域金融機関がこれからどう中小企業支援を行っていくかというテーマで、特に今年の主題は「経営者保証をはずす」ことについてでした。
私も父の会社を承継する折、1億円を超える借入があったので、これを背負っていけるのだろうか、本当に事業承継してもいいのかと逡巡したものです。
特にM&A直前は業績が悪化して、資金繰りが厳しくなっていたので、このままいけばどうなるのだろうと大きな不安が押し寄せました。ですので、経営者保証をはずせるなら、経営者の負担が軽くなりますし、事業承継の障害も一つなくなるため、是非そうなるべきだと思っていました。
経営者保証に関しては、平成25年12月5日に公表された「経営者保証ガイドライン」があります。
この「経営者保証ガイドラインとは」金融庁と中小企業庁の後押しで、日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会を事務局とする「経営者保証に関するガイドライン研究会」の検討の成果としてまとめられたました。
そこで求められているのは以下の3点です。
(1)法人と経営者の関係の明確な区分・分離
(2)財務基盤の強化
(3)経営の透明性
つまり、個人と法人のお金を分けて、会社経営はしっかりと計画性をもって、着実に進めるということなのですが、なかなかそれができていない中小企業は多いです。
そして、ガイドラインはできたけれど、本当に「経営者保証」をはずしてくれる金融機関があるのだろうか?どこまで進んでいるのだろう?という疑問がありました。
今日のお話によると、すでに基本的には融資の際に経営者保証を求めないと公表している地方金融機関もあるそうです。関西だと池田泉州銀行は基本は保証を求めないとのこと、ただし、2期連続赤字、繰越欠損があるといった財務内容の場合は経営者保証を求めているとのこと。
いち早く経営者保証をはずす方向に舵を切った北國銀行の社長は「経営者保証を求めるのは、その企業・経営者を信用していないことでもあり、信頼関係がない状態で、資産運用や事業承継の助言などできない」とお話されたそうです。
大阪信用保証協会でも、経営者保証を付けるか、外すかを経営者が選べる融資商品を新たに取りそろえるとのこと。時代は、「経営者保証」なしという方向に動いています。
経営者保証を外すということは、金融マンはそれだけ事業の内容をしっかりと見極める必要がでてきます。経営者側から見ると、どれだけ自社のビジョンや事業計画をきちんと示して、数値管理をして、それを金融機関に公開できるかということになりますね。
中小企業診断士として金融機関と経営者の橋渡しができるように取り組みたいと思います。