事業承継に早く取り組むことが企業価値を高めることにつながる
私も父親が74歳の時に会社に入社しました。絶対に私が後を継がなければならないとは考えておらず
役員がついでもいいし、会社にとってベストな選択をすればいいと思っていました。
父は、私が入社することになり、元気になりましたが、本当はどう思っているのかよくわかりませんでした。
親しい間柄ほど、聞きにくい、また言いにくいことがあったり、反対に口喧嘩になってしまったり、冷静に着実に事業承継の手順を勧めることは難しいと感じました。
当時、私は、中小企業の経営を理解し、経営者と後継者の気持ちを汲みながら調整して進めることのできる第三者が傍にいれば助かるのにと思っていました。
事業承継は新しい会社を作るようなもの
事業を引き継ぐことを考え始めて、改めて「私は一体何を引き継ぐのだろう?」と思うようになりました。
当時の会社には、企業理念やビジョンといったものもなく、私自身は技術者でも、その会社では一番の新参者。
父と同じやり方では絶対に会社を継続できないと感じました。
もし、本気でやるなら会社そのものを変えるくらいの覚悟がなければ無理だなと感じました。
反対に、事業承継を進めることは、会社を成長させる好機であり、自社の過去から現在、そして未来までしっかりと見つめて考えることができれば、必ず会社はステップアップできると確信しました。
社長と2代目が共に考えるべきこと
私が、現経営者と後継者が共に取り組むべきであったと感じた点を記します。
後継者の決定について
なるべく早く決定することが重要。
決定するまでに後継者の意思確認や話し合いを重ねること、
社内への周知のタイミング、従業員が納得する手順を踏むことが重要です。
ここでつまずくと、事業承継はなかなかうまくいかないと感じます。
会社の見えない資産の洗い出し
私の場合、全く異分野から会社に入ったこともあり
今行っている仕事の、どの技術が、どれくらいのレベルなのか、
何に強みがあるのかといったことが、皆目見えませんでした。
社員さんに聞いても、「特にない」といった回答が返ってくるだけでした。
自社の強みは意外に見えないもの。ここは、第三者目線で会社の歴史を振り返る必要があると思います。
その際、経営者だけでなく、社員も巻き込んで、自社について振り返ることが必要だと感じました。
お金の流れを把握する
経営にお金は要。売上と出ていくお金、借入と返済、製造業でしたので各仕事の原価管理等、
思いつくことはすべて過去の数値を拾いながら確認しました。
原価管理のために、社員さんに週報をつけてもらうことにしましたが、これはかなり反発がありました。
でも利益率を向上させるには、ここを明らかにするしかありません。
お金に関しても、社員さんに、今の状態や、今後何を改善しないといけないか、といったことを明らかにし、
現経営者がしっかり話をすることで納得してもらう必要があると感じました。
スケジュールを決める事
何年で引き継ぐのか、スケジュールを立てて実行していくことが必要だと思います。
決まっていないと、つい目の前の仕事が先になり、ずるずると伸びてしまいます。
後継者の覚悟も決まらないですし、社員も不安になるので、きちんと決定することが必要です。
私の場合は、土地や建物といった資産がなかったことや、株も父が大半を持ち、数人の株主しか
いなかったので、相続については特に考えなくてもよかったのですが、
法的な問題が発生しそうな場合は、こちらを早めに取り組んでおかないといけませんね。